電源ユニットのプラグインケーブルを自作 2

ファイルサーバーを新たに組み直そうとしているさなか。
ainexのブラックな電源分岐ケーブルにインスパイアされ、プラグインケーブルを自作したいと思い立つ。
今回作りたいのはSATA HDDを3台接続するプラグインケーブル。ありていに言えば、『D3-1504SABLの4ピンコネクタをMolex5557コネクタに置き換えたもの』と思ってもらえばいい。
汎用品では決して実現できない、望みどおりのケーブルを作り出すべく挑戦する。




必要物品をマルツオンラインにて購入。
4.2mmピッチニューミニフィットハウジング6極(2個入)【5557-06R】
 http://www.marutsu.co.jp/pc/i/49843/
4.2mmピッチコンタクト(10本入り)【5556T】
 http://www.marutsu.co.jp/pc/i/59419/
UL1007電線 黒【UL1007黒AWG20100MR】
 http://www.marutsu.co.jp/pc/i/14028/


調達した5557コネクタは白色。
D3-1504SABLをリスペクトするのならコネクタも黒にすべきなのだろうが、Molex 5557の黒色コネクタは私の拙い検索力では見つけられなかった。
現物から流用しようにもピン抜き工具はだいぶ昔に使い物にならなくなりハウジングからピンを抜く術がない。


電線はAWG20の黒を100m。
自作するプラグインケーブルの用途は明確に決めていて、ケーブル1本につきHDD最大3台の接続と限定する。
接続するHDDの中で一番電流を要するのはWD20EARSの+5Vで0.7A。これを3台つなぐとしても2.1A。
一方UL1007 AWG20の電線は許容電流5A。
当然メッシュケーブル化するが、メッシュケーブルを電線管とみなし電流減少係数0.56(電線5本をメッシュスリーブに収める)を適用したとしても許容電流は2.8A。充分範囲内だ。
メッシュケーブルなのでそこまで厳密にやらなくてもいいだろうし本当はより細いAWG22(許容電流3A)でいきたかったが、そこは日和った。






ではさっそく作業にとりかかる。
これが今まで使っていたENERMAX LIBERTYのプラグインケーブル。コネクタ3つもいらなかったので1個だけに改造したもの。



まずはピンアサインを確認。
赤・黄・橙は1本づつなので問題ないが2本ある黒はどのピンにつながっているかわからない。なのでメッシュチューブを切り開き直接電線を辿って確認する。テスターがあればバラす必要はなかったのだが。テスター買おうかな・・・



判明したピンアサインをメモ。
以降、このメモを頼りに作業を進めることとなる。
これを間違うと以降の作業の全てが無駄になる。何度もチェックする。



電線を5本切り分ける。
今回作るのは60cmのケーブル。後で長さを揃えるので大体の長さでカット。



SATAコネクタを3個、5cm間隔で取り付け。
今回の山場その1。
安全性かつ見た目に大きく影響するゆえにおそらく最も難度が高い作業。
油性マジックで印をつけマイナスドライバーでコネクタに電線を押し込む。
押し込みにはコンセント等の速結端子の取り外しにも使えるというベッセルの『玄人魂』シリーズのマイナス刃先を使用。光に透かして微かに見えるマジックの印を頼りに角度や向き・間隔そして電線のたわみに気を使いながら取り付けていく。
あと押し込みの際には垂直に力を入れないとドライバーが滑って電線やコネクタを傷つけたり怪我をする危険がある。ここは時間をかけて慎重にいきたい。



ピンアサインのメモに従い、電線に色をマーキング。
赤線と黄線はそのまま赤と黄のテープ、黒線は白テープを貼り番号をふる。橙線はテープなし。
ここで電線の長さを揃えてカットする。



メッシュケーブルをかぶせる。
これは幾度となく行ってきた作業なのでまぁ慣れたもの。


 
ENERMAX LIBERTYのプラグインケーブル差込口は6極だが実際に使っているのは5極なので、使っていない1極は塞がれている。
当然このままでは挿せないのでコネクタのピンを除く。
大ぶりのカッターを使えば難なく切り落とせるが、力の入れ過ぎ注意。



電線の1本1本にコンタクトピンを圧着、電線をハウジングに差し込む。
今回の山場その2。
安全性かつ耐久性に大きく影響するゆえに2番目に難度が高い作業。
ここを雑にやると接触不良など思わぬ事故を招く。もちろんハウジングへの挿し間違えは論外。丁寧にかつ確実にピンを圧着し、メモと見比べつつ差し込む。不安があれば迷うことなくやり直す。



端を熱収縮チューブで処理して完成。
やはりコネクタが白なのが画竜点睛を欠く。ピン抜き工具買おうかな・・・



ともあれテスト。
テスターがない今、実際につないで試すしか術はない。
念のため、基盤から煙が吹いても惜しくないHDDをつなぎ、通電する。



HDDは無事認識。普通に動いているようだ。妙な発熱や異臭・異音もない。


ケーブル作成は大成功といっていいだろう。
ここまでの所要時間は1時間。
あと必要なケーブルは2本。日を改めてじっくりかかろう。



あといつものお約束。
もし真似してこの通りに作ったとして、万が一ケーブルが燃えようが電源ユニットが爆発しようが私LibraLivetは一切責任を負いません。
改造は全て自己責任。どうしても挑戦するなら充分な下調べのもと、接触不良やショート、ケアレスミスに注意して作業してください。そのためには寝不足ましてビール片手になど論外、万全のコンディションで望みましょう。